きみと同じ歳のころ

いつも眠たい人が書いた文章置き場

海岸

いま使用しているヘッドフォン(WH-1000XM3)を貸したとき、
男はノイズキャンセリング機能がすごいと驚き、
女はヘッドフォンから流れてくる音楽がいいと感激した。

こんな書き方をしてしまったが、そんなの人の性質や重きを置く事象によって感想が変わることは分かっているし、逆もあり得るし、まったく別の感想が出てくる可能性があることも知っている。ただ、人によって(今回は男女別だったが)出てくる理由が違うのが面白いなと思った次第。ちなみにそのとき流していた音楽はKing GnuのMcDonald Romance。歌詞に出てくるような恋愛がしたかった人生であった。

いつかの金曜日、会社の同僚たちと飲みに行き、がばがば飲みまくっていたら全員終電を逃していたことがあった。近くにカラオケがあったので、みんなでそこに行き、少し歌い、少し仮眠し始発の電車で正しく帰った。起きたのは土曜の朝だし、なにしろ始発だから人は少ないと思っていたのだが、それは違い、私たちと同じような人がホームにわんさかいた。驚いたし平常よりうるさかった。朝から爛れていると思った。私たちは静かに電車を待った。

飲み会、カラオケ、仮眠。そこではなにひとつやましいことはなかったし、その経験は至極健全なものだったのだけど私は多少ショックを受けた。悪いことをしていないのに悪いことをした気分になった。それは割と正しく生きている自負があったからだと思う(オールすることが正しくないと言いたいわけではなく、私の人生には『それ』をすることがないと思っていたから『それ』をしてしまった自分に気持ちが追いついていないからだと思う)。終電を逃す、カラオケで仮眠し始発を待つ。そんな状況は毎日どこかで生まれているし、私はそれをなにかしらの媒体を通して知っていた。でもとあるきっかけを持って経験してしまった。あっけねえなと思った。別に『オール』することをいつかのために大事にとっておいたわけでもないのに。

冒頭のヘッドフォンの話は、カラオケで交わされた話です。本当、下心がなきゃそんなもんだよな。